雑食オタクの雑記帳

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【灼熱カバディ】これ本当にマイナースポーツか?【感想】

今日はちょっと灼熱カバディの話をしたいと思います。

私も最近はかなりアニメを見る量が減ってしまって、今期はいまのところ『灼熱カバディ』、『シャーマンキング(リメイク版)』、『SSSS.DYNAZENON』しか追ってません(ダイナゼノンは数話分溜めている)。そのなかで最も毎週楽しみにしているのが灼熱カバディなので、ちょっと取り上げてみようかなと思った次第です。あんまり深い話にはならないかもしれませんが、よければお付き合いください。

 

 

 はじめに ~作品の概要など~

さて、灼熱カバディ裏サンデーという小学館のサイトで連載されているスポーツ漫画で、現在は18巻まで単行本が出ています。ただ、私はまだアニメしか見ていないので今回はアニメ第7話までの内容の雑感になります。個人的にはかなり当たりの作品なので追々単行本も揃えていきたいです。

まず最初に説明すると、「スポーツが嫌いになった天才サッカー少年宵越竜哉(よいごしたつや)が、ひょんなことから能京高校カバディ部に入部させられ、だんだんカバディにハマっていき、仲間とともに成長していく」というのがこの作品のあらすじになってます。

 やはりスポーツ漫画の主人公の王道は「クセのある一芸特化型(あるいはトータルが高水準な上で特別な才能を持っている)」だと思ってますが、宵越も主人公の造形的には王道的なキャラクターですね。カバディでは部長の王城に次ぐ攻撃手(レイダー)です。ただ生意気なキャラでも先輩に敬語を使わないレベルの唯我独尊さはなかなかいない気がします*1。一方でサッカーをやめた代わりに生主を始めるという斜め上の行動や同級生の畦道に可愛い彼女がいて対抗心を燃やしたり、年相応な愛嬌が見られるのもいいキャラしてるなあと思います。

この宵越、とりあえず奏和高校との練習試合まで通してみて「マジでかっけぇな」と思わされたのですが、それについては少し後回しにして、カバディ部のチームメイトにも触れていきましょう。

まずは宵越の勧誘にやってきた一年畦道相馬(あぜみちそうま)。スキンヘッドで小柄な少年ですが、筋力が凄まじく背筋力を測定した際には規格外の数字を叩き出していました。役割は守備手(アンティ)。礼儀正しく純粋な心を持った熱血漢という感じのキャラで、性格に難のある宵越とも積極的に打ち解けようとしていくところに人の好さが見えますね。熱血漢も実直な性格も好きなので、いまのところ宵越と並んで一番好きなキャラです。

次にカバディ部副部長で三年の井浦慶(いうらけい)。眼鏡を掛けた頭脳派キャラで、カバディ歴も王城に次いで長いベテランです。攻撃手を務めています。優しそうに見えて、相手の弱みを握って脅しをかけたりする鬼畜な一面もある男ですが、基本的には面倒見がよく頼れる先輩です。スポーツ漫画的にはいわゆる凡人の立ち位置で、奏和戦ではいきなり熱いところを見せてくれました(これに関しても後述)。

二年にはやや軟派な雰囲気の水澄京平(みすみきょうへい)と無骨な雰囲気の伊達真司(だてしんじ)の二人がいます。少しタイプは違いますが、二人とも親しみやすくノリもいい先輩です。カバディでは三年の二人が攻撃手なので、守備手の要として活躍しています。二人ともフィジカルが強く、特に伊達はチーム随一のパワーを誇っています。

そして、最後はカバディ部部長で全国トップレベルの実力者、最強の攻撃手と名高い王城正人(おうじょうまさと)。普段は穏やかで物腰柔らかな性格をしていますが、実力者としての自負はあり、プレー中は人が変わったように獰猛になります。華奢な体格で病弱そうな外見とは裏腹に、攻撃に関しては他の追随を許しません。そのプレースタイルは「体格で劣っていても捕まらなければどうということはない」という印象ですが、守備の宵越を返り討ちにしたり、奏和戦では相手エースの高谷が本能的に危険を察知して王城の守備を避けるなど、まだまだ謎が多いです。ただ、作中で言及がありましたが呼吸がプレーの鍵になっているようです。

奏和戦のあとに三人の新入部員が入りますが、宵越を擁する能京高校のメインキャラはとりあえずこの六人です。主人公校特有のアットホーム感がすごく好きです。パーティーハットを被ったり仲良くトランプしたりしていた宵越の歓迎会(四話)はそういう空気感が特に伝わってきます。

簡単な説明をしたところで、ここからは作品の魅力を「カバディ自体の面白さ」、「手に汗握る熱い物語」という二つの観点で話していきます。

 

あっという間に偏見を覆す、カバディの熱量と面白さ

題材になっているカバディというスポーツですが、名前だけが一人歩きして大半の人間には馴染みのないものだと思います。私も他のコメディ漫画(確かスケットダンスだったかな……)でネタスポーツとして登場したのを見たくらいです。カバディに関する知識は「プレー中にカバディという掛け声をする」ぐらいしかありませんでした。しかし、『灼熱カバディ』を通してカバディについて学んでいくと、その面白さがみるみる分かってきました。

カバディは7対7で行われる、格闘技に近いチームスポーツです。

第一に攻守がターン制になっていて、攻撃手は「カバディ」と連呼しながら一人で相手陣に入り、守備手をタッチして自陣に帰還するとタッチした選手の数だけ得点を獲得します。守備側はその攻撃手を倒して自陣に帰らせなければ、1得点が入ります。作中で言われていたように、鬼ごっこに似ています。

これだけだとシンプルに思えますが、もちろん鬼ごっことは違って、攻撃にも守備にも様々なテクニックがあります。たとえば攻撃はタッチに足を使ってもいいのでキックで意表を突いたり、守備は攻撃手をコート際に追い込んだり一気にタックルして押さえ込んだりするのに手を繋いでチェーンを作ったり、という感じですね。己の肉体と技術だけを武器にして、緊迫した駆け引きと熱い攻防が繰り広げられます。加えて、攻撃手にタッチされた選手は味方が得点するまでコートを出なければならず、戦える選手が増減するのも緊迫感があってより一層カバディを燃えるスポーツにしていると思います。

アニメでも宵越のロールキックや、高谷が畦道に片足を捕まれたときにもう片方の足で畦道を蹴り飛ばしてキャッチから脱出するなど派手なプレーが見られますが、YouTubeにあったカバディのスーパープレー集でも世界のトップ選手がフィクション顔負けの化け物じみた動きをしていて高ぶりました。

カバディの発祥がインドなのは言わずもがなですが、その起源は狩猟の文化にあるそうです。攻撃手が獣で、守備手が狩人。カバディの熱く血が煮えたぎるような競技性はそこから来ているんでしょうね。

私はコンタクトスポーツが好きで高校時代にはラグビーをやっていたのですが、もしもカバディ部が高校に存在していたらカバディをやっていたかもしれない。それぐらい面白いスポーツだと思います。

 

闘いと勝利を追い求める者たちの熱き物語

『灼熱カバディ』はストーリーもカバディという競技に相応しい熱いものとなっています。ストーリーを語るならやはり第一に話すべきは主人公である宵越のことでしょう。

サッカー時代の経験からスポーツ嫌いになった宵越が、最初こそ入部は不本意だったものの、どんどんカバディに熱中していって大切な仲間もできて、スポーツの楽しさを思い出していく過程は見てて胸に込み上げてくるものがあります。

宵越ってかなり生意気で口が悪いのに不思議と嫌みは感じないんですよね。その答えは宵越は根っこが真摯だからだと思うんですよ。確かにコミュニケーションスキルに難はありますが、宵越が遠慮することなく自分の意見を伝えるのは、ある種の誠実さのようにも思えます。また、勝負で勝つためには最善を尽くす、というのはスポーツや試験でも絶対に必要なことです。ただ、それを常にできるかと言われればやっぱり難しいと思います。それを実践できている宵越は勝負に対して人一倍、真摯であると言えると思います。だからこそ、サッカー時代に実力的にも精神的にもついていけなかったチームメイトと軋轢が起こったんでしょう。そう考えると、宵越がカバディという新しいフィールドで肩を並べられる仲間に出会えてよかったなあと思います。特に畦道の影響は大きいですよね。畦道と宵越の歯車が噛み合う演出からみてもそうですが、練習で何度も一緒に戦った畦道が宵越にできた最初の仲間ですからね。畦道の精神的な強さに宵越が救われたという見方もできると思います。「『不倒』を初めて倒した男」という存在は宵越にとって想像以上に大きいんだなって、奏和戦後の二人のやりとりを見て感じました。こういうところを含めて、宵越と畦道が私は特に好きです。

宵越に焦点を当てて話しましたが、もう一つ、練習試合の奏和戦について触れないわけにはいかないでしょう。

奏和戦は本当に素晴らしかったです。奏和戦を見ててまず驚いたのは試合全体の熱量ですね。スポーツ漫画における最初の練習試合って、まだそこまで物語が温まっていない段階だと思うんですよ。もちろん燃えるポイントもありますし、キャラの成長には欠かせない展開ですが、盛り上がりは相対的に低いと思うんです。しかし、奏和戦は驚くことに初戦からフルスロットル。感覚的には「インターハイ予選でのちに再戦する強豪校に負ける試合」ぐらいの熱さでした。

こう感じたのは、この試合にドラマチックな要素が幾重にも重なり合っていたからだと考えています。奏和戦でキーになるのは王城、井浦、そして奏和主将の六弦ですね。高谷も奏和の脅威であり、宵越が越えるべき相手として重要なキャラですが、さっき挙げた三人、特に井浦が奏和戦のキーパーソンでしょう。井浦が六弦に「王城の友人」としか覚えられていないのは、凡人である証左と見なすことができます。スポーツ漫画で「凡人」という存在がどれだけ大事なものかは、いろんな作品を多く読んでいる人ほど分かるのではないでしょうか。六弦には見向きもされなかった井浦が、知略を尽くし仲間の力を借りることでやっと六弦を止めることができたのは、熱いと言うほかありません。六弦が王城の功績だと勘違いしていたチームの育成を頑張っていたのが、実際は井浦というのも、また熱いところだと思います。もちろん奏和戦が熱い試合になったのはそれだけではなく、畦道の負傷に加え、王城に高谷を倒す役目を託された宵越の活躍も外せないと思います。高谷と宵越の勝負は試合展開も目が離せませんでしたが、何より高谷と宵越のスタンスの違いが刺さりました。殺気を感じるくらい勝ちに貪欲な宵越がマジでカッコよかったです。

それと地味ながら観戦に来てたサッカー部監督の解説も良い味を出してたと思います。

 

まとめ

以上が『灼熱カバディ』の感想になります。競技環境を整備していくのは非常に大変だと思いますが、カバディはもっと世間に普及していいスポーツだと思いました。その面白さはメジャースポーツに比肩するくらいすごいです。

あと、アニメとしての評価について少し補足させてください。私もアニメの技術に詳しいわけではないのですが、灼熱カバディはスポーツ漫画にしては作画にあまり動きがない方だと思います。これは普通に考えれば短所だと思うんですが、それが気にならないくらい要所要所の迫力満載な作画に臨場感ある劇伴がすごいんですよね。特に劇伴は神懸かり的なクオリティです。アニメの円盤はほとんど買わないんですけど、サントラは購入確定です。

これだけ熱くて面白いのにまだ序盤なんですから本当に驚きです。続きが本当に楽しみです。ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

*1:そもそもタメ口はキャプテンなどのまとめ役に咎められるので