雑食オタクの雑記帳

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【星屑テレパス】雷門瞬の本音とそれに対する考察【ネタバレ】

今回は以前も記事にした雷門瞬のことについて書きます

今月のきらら無印ではついに瞬が抱えてた問題について一応の決着が着きました。

いつもの倍のページ数でロケット勝負から瞬と和解するまでが描かれていましたが、最初に言っておくと瞬について納得していない部分がありました。もちろん登場初期の伏線も上手く回収されていて、瞬がここまで本音をさらけ出す感動的な回ではあるのですが、一方で瞬の人物像のブレも感じました。公式が絶対というのは承知の上ですが、今月号の考察を行ったあとに不満点にも触れていこうと思います。

 

※タイトルの通り、最新話のネタバレを含みます。

 

 

今月号のあらすじ

まずは簡単にあらすじの解説をします。

前回、海果たちは瞬にロケット勝負を挑み、決戦の日を迎えました。規定のエンジンを搭載したロケットをお互い一度だけ打ち上げ、より高度を稼いだ方が勝ちという内容です。結果は海果たちが瞬に大差をつけて勝ちましたが、瞬は遥乃に弱いエンジンを使って手を抜いたことを看破されます。

そこで御託を並べて同好会をやめようとしますが、海果は瞬を抱きしめて「雷門さんのことを何も分かってなかった」と泣きながら謝りました。瞬も自分と同じようにずっと居場所を探していたんじゃないかと指摘され、瞬は暴言を放ちますが、それもユウに嘘だと見抜かれます。

そして、海果はユウと遥乃とともに瞬の居場所になりたいという想いを乗せて「また一緒に宙(そら)を目指そう、雷門さん」と手を差し伸べました。海果たちの温かい言葉に心を揺さぶられ、強情になって隠していた「またロケットを一緒に作りたい」という本音を打ち明けて和解する――というのがというのが今月号のあらすじです。

 

物語の考察

不満点があるとはいったものの神回と呼ぶに相応しいクオリティではありました。

序盤から際立っていたのは、瞬の表情の描き方ですね。不敵な笑みを浮かべる一方で、冷めた表情や悲しげな表情も見せるなど、どこか悲哀が漂っていました。特に海果がロケットを打ち上げた煙の切れ間に見た瞬の表情には「お前……消えるのか?」と思わずにはいられませんでした(先月号の引きを見たときから思ってました)。瞬の心境の変化が如実に出ててよかったですね。

この話のテーマの中心は、やはり扉絵でもツーショットだった海果と瞬。対極なようでユウには「近いところにいる」と言われていた二人ですが、友達がおらず居場所がなかったという共通点がここで提示されます。上手く話せずに未知なる宇宙に居場所を求めて自分の殻に引きこもっていた海果と、失うことが怖くて自分から周りを突き放し関係を切ってきた瞬。内面の表象は対照的でしたが、二人とも「居場所が欲しい」と思っていました。海果の心情はここまで十分描かれているのですが、瞬に関しては「いままで明かされることのなかった本音」でした。この瞬の本音には、海果だけでなくユウや遥乃も同様に気づいていたように思われます。

そのことを必死に否定する瞬でしたが、海果は構わずに自分の本音をぶつけます。瞬が居場所をくれたから、今度は自分が瞬の居場所になりたいと、そう伝えました。そして最後に言ったのが「また一緒に宙(そら)を目指そう、雷門さん」だったのです。

瞬は海果の言葉で過去の記憶がフラッシュバックし、何度も人間関係を断ち切ってしまい、「どうせ無くなってしまうなら、もう他人には期待しない」と誓ったことを思い出します。しかし、瞬が何度突き放しても、海果たちは懲りずに手を差し伸べてきました。瞬はそれが怖くて自分を卑下し始めますが、ユウや遥乃には本心を見透かされ、とどめに海果はこう放ちました。

…無くならないよ…

言葉も…思いも…ずっと…何度だって…

私が…雷門さんに届ける…から…

だから…無くなったりしないよ…

引用:まんがタイムきらら2022年1月号

無くなってしまうことに恐怖する心を癒やしてくれる海果の言葉に、瞬はついに心を開いて「本当は一緒にロケットを作れるのが嬉しかったから、また一緒に作りたい」という本音を吐き出すことができたのです。最後に遥乃だけでなく、海果とユウのことも初めて名前で呼んだのは本当に感慨深かったですね。

改めて見てみると、瞬について技術力云々ではなく一貫してその内面が問題とされていました。巧みだと思わされたのは、第17話「約束スイートメモリーで出てきた「他人の言葉はいつだって単純で安っぽくて嘘っぽい」という瞬の持論「また」という言葉が伏線として活かされていたことですね。この話で瞬は海果の言葉を「単純で安っぽい…なのに…」と評していたので、この時点で揺らぎ始めていたのかなと感じました。

 

何だかんだ熱弁したような気がするのですが、不満点についても記しておこうと思います。

 

雷門瞬の描写に感じたブレ

私が納得できなかった部分は二つありました。

一つ目は、「興味ない」という瞬の言葉の意味が少し変わっているのではないかという点です。瞬のモノローグでは「興味ない」という言葉のすべてが自己防衛の表れであるかのように読めますが、「興味ない」と言った対象すべてに興味があったとも思えなかったんですよね。第14話「熱血ロンリーティーチャー」で、瞬の趣味は男の子っぽくてつまらないとモブの女の子から昔に言われたという回想があるので、本当に「興味ない」というケースもあったんじゃないかと考えてます。

二つ目は、瞬の挫折に関して技術者としての実力がほとんど関わっていなかったことです。今後の話で補足があるかもしれませんが、少なくとも瞬の挫折のなかでは言及されませんでした。以前書いた記事はオタクの妄想ですが、どういう形であれ技術者としての側面にも触れてほしかったですね。ただ、本当は自分に実力はなかったのではなく、最後の砦だと思っていた実力も大会でへし折られて「本当に何もない」という流れという解釈なのかもしれません。

 

まとめ ~海果と瞬~

実は最初、自分のなかで不満点の方が強かったのですが、感想を書き出してみるとやはり神回だなと感じました。私は「あ…あの、ね…雷門さん…」から始まる海果の長い告白が一番好きです。海果は七転び八起きという言葉が似合う強い子だと思います。挫折から全員が立ち直るまで結構な時間を要したので、今後どんな展開になっていくか楽しみです。

今日はこんなところで終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

PS:ユウが瞬に「つんでれ地球人」とニヤけ顔で言うシーンも良かったです。